【悪夢の一週間】インド人ファミリーでのオーペア
7月のある一週間、インド人ファミリーでオーペアをした話。
たったの一週間ですが、私にとっては長い長い一週間でした。
Facebookのオーペアグループで見つけたこのファミリー。
お父さんはクウェートで10年働いていた経験を持つ会計士、お母さんは医者、高校生のお兄ちゃんは来年からアメリカへテニス留学予定、というエリート一家。
私がお世話をする下の男の子も、週に何度か家庭教師が来たり、テニスを習っていたり。毎日スケジュールが決められていました。
お家はすごく綺麗で、キッチンも広々。
そして、お庭にはプールやジャグジー。
私が与えられた部屋もとても綺麗。
ベッドはふかふかのクイーンサイズで、バスルームは自分専用のものを使うことができました。
ただ、私にはここのファミリーは合いませんでした。
何が合わなかったかというと、お父さん。
高圧的ですぐカッとなるお父さんは、コロナウィルスの影響で基本的に在宅ワーク。そのため、ほぼずっと家にいました。
一日中細かいことで何かと口出しされて怒鳴られては、ストレスを感じていました。
お家の各所に監視カメラがあるのも、監視されているようでリラックスできなかった。
そんな環境のなか、初日から私の体は拒否していたようで、体調を崩してダウンしてしまいました。
体が重い。。涙が止まらない。。。
でも、せっかく来たんだから頑張ろう。
そんな気持ちでいました。
このファミリーでの本来の仕事は、午前中は朝7時に起きて簡単な家事をして、男の子を起こしてから学校に行くまでの準備を手伝って、学校にお見送りすること。
そして午後は、15時前に男の子を迎えに行って、おやつをあげて一緒に遊ぶこと。
ただ、私がいた時はスクールホリデー期間だったため、朝7時に起きて掃除をしてから夕方男の子がテレビを見ていい17時半になるまでの間ずっと、男の子のお世話をしなければなりませんでした。
お世話といっても、一緒に遊んだり友達と遊んでいるところを見守ったりお昼ごはんを作ったりですが、、
夜は皆でごはんを食べて。
日中ずっと自由がないので、一人の時間が欲しくて夜自分のお部屋にいると、「コミュニケーションを取りなさい」と怒られる。
心休まる時がない。。。
毎日憂鬱で、何度も泣きました。
体調も優れない日々でした。
もちろん、良い思い出もあります。
週末ホームパーティーに参加させてもらったり、皆で映画を観たり。
子どもと卓球をしたりテニスをしたり。
でも、ストレスを感じることがあまりにも多くて、お父さんお母さんも私も、今後上手くいくかなんとも言えないなぁ、、という感じ。
そして一週間後。
やっぱしんどいわ。もう無理。
仕事をやめて、ここを出ていきたい。
そう思いが固まったところに、
「たまご、ちょっと話せる?」
お母さんから呼び出されて、話すことに。
「あなたはこのお家でハッピーじゃないよね。
あなたは自分がハッピーになれることをした方が良いと思う。
気分は伝染するものだから、あなたがハッピーじゃないと、私たちもハッピーじゃないわ。」
「私もそう思う。自分はこの環境に合っていないから、もうこの仕事をやめた方が良いと思う。」
「やっと分かったようでよかったわ。
もう仕事はしなくていいから、今後の予定について考えなさい。
今週分のポケットマネーはあげるから、そのお金でどこかの宿に泊まればいいわ。」
そして、
「ゴールドコーストはどう?
それともお友達のいるコフスハーバーのシェアハウスに戻る?
またバイロンベイに行くのもいいし!」
お母さんの提案から私は直感で、ゴールドコーストに行きたいと思いました。
するとお母さん。
「明後日ゴールドコーストに行く予定があるから、その時に連れていってあげる。明日はゆっくり今後の計画でも立てたらいいわ。」
その後お父さんからも、
「もう仕事はしなくてもいいけれど今週分のポケットマネーはあげるよ。
君はこれからどうするか、どこに泊まるか計画を立てたらいい。僕たちは君がいなくなってもなんとかするから大丈夫。」
とのこと。
なんだかんだ良い人やん!
自分のことを思ってくれているんだなぁ、と感じられるお父さんとお母さんの言葉が嬉しかったです。
そして、もうここにいなくていいんだ!と思うと、重かった体が一気に軽くなりました。
体調が優れなかった一週間。全てはストレスだったんだなぁ、、、体は正直なもの。
が、次の日の朝。
もう仕事をしなくていいと言われた私は、ゆっくり起きてシャワーを浴びて、お部屋で過ごしていました。
もう働かなくていいと言われたけれど、申し訳ないから掃除でもしよう。日本食を作るのもいいな。なんて考えたり、、、
と、そこに
「たまご!!!」
お部屋に来たのはお父さん。
「君は今日働くのか!!??」
??(´⊙ω⊙`)
「えっ?昨日、もう働かなくていいって言ったよね?」
「なんだ!?君は働きもせずお金をもらおうとしているのか!?」
「えっ、、お金はいらないよ!!」
「じゃあ君はゲストとして今日一日この家にステイするつもりなのか!?」
「え!?だって昨日、もう働かなくていいって言われたから、、」
「何を言ってるんだ!
こっちは色々忙しくて手が回らないんだ!
何かできることはないか、君には尋ねる義務がある!!
コミュニケーションが足りない!!」
何それ、、、(°_°)
「もう今後の計画は立てたのか!?」
「立てた!」
「宿は予約したのか!?
今日君を連れていくから準備しなさい!!
時間は何時でもいいから!!」
・・・・・(O_O)
呆然とする私。
もう、何がなんだか意味が分かりません。
混乱して、また涙が出てきました。
そして10分後。
またお父さんがやってきました。
「You can leave tomorrow」
(やっぱり明日出ていったらいい)
なんなん!?(*_*)
コロコロ変わる言動に振り回されて、参る、、
ストレスで頭痛がしてきたので、鎮痛剤を飲んで一旦寝ることに。
目が覚めてからは、パッキング。
いつお父さんが何を言い出すかわからないので、もういつでも出られるように荷物をまとめていようと思ったのです。
荷物をまとめて部屋を掃除して、、
すると、私が荷物をまとめる様子を見たお父さんがお母さんに連絡したようで、お母さんから電話が。
「あなた、どこに行くの?」
「ゴールドコーストに行く準備をしているだけだよ。」
「あぁ、、彼(お父さん)はあなたが今家を出て行くものだと勘違いをしているわ。あなたがそれを言わないから、、、」
なんでパッキングすることをいちいち報告しないとあかんの!気になったのならそっちから聞けばいいやん!なんて思いつつ、、
また部屋にやってきたお父さん。
「君は今出ていこうとしているのか!?
今僕が君を連れて行ける訳ないじゃないか!!!
僕が出たら子どもたちしかいないのに!!!」
今連れていってなんて頼んでないのに、、
勝手に勘違いして激情するお父さん。もう何を言っても通じません。
そして、
「今タクシーを呼ぶ!!!」
突然誰かに電話し出しました。
急にタクシーを呼ぶと言われ、私もびっくり。
出る準備はしていたものの、こんな急に出ることになるなんて。
ここからゴールドコーストまで、タクシー代どんだけかかるんやなんて思いつつ。。
私を迎えに来たのはタクシーではなく、以前に会ったことのある男の子でした。
週に一回、仕事でお家にごはんを作りに来ているインド人の大学生です。
「Hello ...(;_;)」
見たことのある顔に安心しつつも泣きながら挨拶し、泣きながらファミリーにお別れを言い、泣きながら車に入り。。
もう、この時は何もかもがいやになっていました。
なんて最悪な別れなんや。
車内でも泣き続ける私にインドの男の子は
「どうしたの?僕は誰にも言わないから、何があったのか話してくれていいよ。」
穏やかで落ち着いている男の子に、私は一部始終を話しました。
彼は私の話をしっかり聞いてくれて、
「わかるよ、わかる」
「地獄から脱出できて良かったじゃないか」
「これからのゴールドコーストでの日々は素晴らしいものになるよ」
と言ってくれました。
彼はファミリーのお家でもう2年働いているけれど、最初の頃はずっと怒られっぱなしでストレスがひどかったのだとか。
自分は週に2時間だからやってこれたけれど、一緒に住むなんて無理だと。
理解してもらって、優しくしてもらって、励ましてくれて。
気づくと私は笑顔になっていました。
その後、セブンでコーヒーを買ってくれたり。
彼が働くインディアンレストランで夜ごはんをテイクアウトしてくれたり。
宿に着いてからも、お部屋まで重い荷物を運んでくれて。。
もう、感謝してもしきれません。
いつもこんな時は、優しい人に救われるなぁ、、と幸せな気持ちになりました。
最後に「キスしてもいい?」と聞かれたけれど。
そして、宿に着いてお部屋に荷物を置いて。
キッチンで食べたバターチキンカレーとナンの美味しかったこと。
バターチキンカレーを口に含み、
私はもう自由なんだ、、、!
(*'▽'*)✨
自由になった幸せを噛み締めた夜だったのでした。